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塩の湖の下に巨大な淡水の海 — グレートソルトレイクの地下4kmに隠された帯水層を発見

深海ログ編集部
出典: Science Daily / University of Utah — A massive freshwater reservoir is hiding under the Great Salt Lake原文を読む →
Phragmites-covered mound on Farmington Bay dry playa

塩の湖の下に淡水の海が広がっていた

アメリカ・ユタ州のグレートソルトレイクは、その名の通り塩分濃度の高い内陸湖です。しかしユタ大学の研究チームが航空電磁探査(AEM)を実施したところ、この塩湖の地下に深さ3〜4キロメートル(約10,000〜13,000フィート)に及ぶ巨大な淡水システムが隠されていることが判明しました。

この発見は、グレートソルトレイク周辺の地下水文学と地質学の理解を根本的に変えるものです。

予想外だったのは「広がり方」

予想外だったのは塩のレンズではなく、その下の淡水が湖のかなり内部まで広がっていたことです。

— ビル・ジョンソン(水文学者)

研究者たちは、地下水が地表に突き破って噴出する場所に、直径50〜100メートルのヨシに覆われた丘が形成されていることも発見しました。これらの丘は、地下水圧の大きさを可視的に示す指標です。

800平方マイルの粉塵問題への解決策

グレートソルトレイクの水位は長年にわたって低下しており、約800平方マイル(約2,000平方キロメートル)の湖底が露出しています。この乾燥した湖底からは有毒な粉塵が発生し、周辺住民の健康を脅かしています。

この淡水を使ってダストホットスポットを湿らせ、有意義な方法で鎮めることが目標です。

— ビル・ジョンソン

航空電磁探査(AEM)の威力

AEMは航空機から電磁パルスを地下に送り、地層の電気伝導度の違いから地下水の分布を3次元的にマッピングする技術です。この非侵襲的な手法により、ファーミントン湾とアンテロープ島にわたる広範囲の地下構造が明らかになりました。

この潜在的な貯水層がどれほど深いか、そしてその空間的な広がりが湖の東縁の下でどうなっているかという問いに答えることができました。

— マイケル・ズダノフ教授(ユタ大学 地質学・地球物理学)

海底地形の調査については「シュミット海洋研究所がアルゼンチン深海の生物多様性を解明」もご覧ください。

編集部の解説

「塩の湖の下の淡水」という逆説 — 地表が極めて塩分の高い環境であるのに、その直下に巨大な淡水システムが存在するという発見は、地下の水文学がいかに複雑で予測困難かを示しています。

環境問題への応用可能性 — 有毒粉塵の抑制に地下淡水を活用するアイデアは、環境問題と地質学の発見が直結する好例です。ただし地下水の過剰汲み上げは別の問題を引き起こす可能性があり、慎重な管理が必要です。

AEM技術の汎用性 — 航空電磁探査は海底地質調査にも応用可能な技術です。深海の海底下に隠された水や鉱物資源の探査にも同様の原理が使えます。

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