深海3,000mのタイムカプセル — メガロドンの歯を「現場」で初めて発見

350万年前の巨大ザメ
350万年前に絶滅した巨大ザメの痕跡が、深さ3,000mの海底に眠っていた。
メガロドン(Otodus megalodon)。体長は推定15m以上。サメの骨格は軟骨でできているため化石に残りにくいのですが、歯だけは別です。頻繁に生え変わるサメの歯は海底に大量に沈んでいます。
史上初、深海の「現場」で発見
2022年、E/Vノーチラスの遠隔操作型無人探査機(ROV)ヘラクレスが、太平洋遠隔諸島海洋国定記念物のジョンストン環礁付近で化石化したメガロドンの歯を回収しました。水深は3,000m以上。深海でメガロドンの歯が「原位置」で発見・記録されたのは史上初です。

従来、深海のサメの化石歯はネットによる底引きで回収されていたため、正確な位置情報が得られませんでした。ROVでの発見はこの問題を解決しています。
フェロマンガンが刻む時間
深海に長期間沈んでいた歯の表面にはフェロマンガンと呼ばれる鉱物が付着します。その堆積速度は100万年で約2.5mm。歯のコーティングの厚さを測れば、どれだけの時間が経過したかを推定できるのです。

2025年のNA176遠征ではクック諸島海域の水深5,100m以上でもサメの化石歯が確認されました。
深海に眠る歯が語ること
メガロドンの歯は鋸歯状の縁を持ち、ホホジロザメと似たパターンを示します。これは同様の捕食行動をとっていた可能性を示唆しています。絶滅した巨大ザメの生態を知る手がかりは、深海の底にまだ数えきれないほど眠っているのかもしれません。

深海の新種発見については「CCZ深海で新超科を含む24新種」もご覧ください。
筆者ひとこと: 歯の表面を覆うフェロマンガンの厚さで年代がわかるという話に驚きました。100万年で2.5mm。時間がそのまま層になって歯に刻まれている。
深海の暗闇の中で350万年間、誰にも見つからずに残っていたのかと思うと不思議な気持ちになります。


