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アラスカの沿岸氷はなぜこれほど早く消えているのか? 27年分のデータが語る変化

深海ログ編集部
出典: ScienceDaily / University of Alaska Fairbanks — The Ice Protecting Alaska Is Vanishing Faster Than Expected原文を読む →
アラスカ・キーナイフィヨルド国立公園のアイアリク氷河。Credit: Shutterstock

消えゆく沿岸氷

アラスカの海岸を守ってきた氷が消えつつあります。それも予想をはるかに超えるスピードで。

アラスカ大学フェアバンクス校のAndrew Mahoney教授が率いるチームが、1996年から2023年までの27年分の衛星データを分析しました。対象はチュクチ海とボーフォート海の定着氷——海岸に固着した氷——です。

57日間短くなった氷の季節

チュクチ海では定着氷の季節が57日間短くなっていました。ボーフォート海でも39日間の短縮です。主な原因は秋の氷の形成が遅れていること。春の融解が早まっているのではなく、そもそも氷が張る時期が後ろにずれているのです。

ボーフォート海の定着氷は、米国大陸棚全体に占める割合が3.8%から2%に低下しました。水深20mまでの海域に氷が届かなくなっているケースも確認されています。

研究者の声

定着氷は人々が実際に使う氷です。人間の生活とはるかに直接的なつながりがあります。

— Andrew Mahoney(アラスカ大学フェアバンクス校 教授)

定着氷の季節が短くなることは、面積の減少以上に沿岸コミュニティにとって深刻かもしれません。海岸線が波にさらされ、狩猟条件がはるかに不安定になるからです。

— Andrew Mahoney

定着氷は北極圏の他の氷と同様に減少しています。同じ傾向を示す部分もありますが、新たな変化も見えてきています。

— Andrew Mahoney

氷が守っていたもの

定着氷はただの凍った海面ではありません。沿岸部の侵食を防ぎ、先住民の狩猟や移動の足場となり、海洋哺乳類の生息地にもなっています。その氷が年を追うごとに縮んでいく。27年分のデータはその事実を数字で突きつけています。

海面上昇の影響については「アフリカ沿岸の海面上昇が2億人の生活を脅かす」もご覧ください。

筆者ひとこと: 「チュクチ海で57日、ボーフォート海で39日」。氷の季節がこれだけ短くなったという数字の重みを考えています。

余談ですが、この氷は狩猟や移動の足場でもある。ただの凍った水ではないのです。生活の基盤がこの速さで消えていくのは、数字以上に深刻ではないでしょうか。

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